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木の人、語る。

丸太を挽く。
僕が最初に新しい木と会うのは、旭川に丸太が届いたときだ。あらかじめ「こういう家具に使う、こういう木を」と伝えておき、秋から冬にかけて山から伐り出してもらったもの。ただ、いくらベテランのバイヤーでも木口(輪切りの面)や木肌といった外見からの推測だから、挽いてみなければわからないことの方が多い。半分「賭け」だけど、それが実は僕のいちばんの楽しみになっている。
それじゃあ、突板(つきいた:テーブル天板などに貼る薄い板材)にするプロセスを見ていこう。今日挽く(挽き割る)のはウォルナット。これはキャラクターが強く出る樹種で、節だけでも「死に節」「生き節」、葉があった痕の「葉節」、枝の痕の「枝節」といろいろある。材にしたとき濃淡が激しく目も粗いが、それがウォルナット本来の「いい表情」。ほかにも、ギラ(斜めに光る模様)、かすり(虫が入ったり鳥がつついた痕)、チヂミ(縮れ)などがあって面白い。人里にも育つので、釘やバラ線、針金、碍子(がいし:電線器具)、鉄砲玉なんかが入り込んでいることもあるんだよ。

挽きながら決めていく。
皮を剥いだら、丸太を丹念に見ていく。まず葉節。これは必ず芯まで節が続いているので見逃せない。それに表面が少しでもふくらんでいるところは要注意。「中に節があるかも知れない。気を付けなければ」などと考えながら、丸太を半分に割る方向を決めるんだ。特に板目材をとる場合は、その方向が何よりも重要なんだけど、割る瞬間は何百回やってもわくわくするね。ここで初めて丸太の状態がはっきりして、それまで考えたことの答えが出るわけだから。最後は長さの決定。節や割れがないぎりぎりのところまで…「うん、これは2mはいけそうだ」。
この後材料を突いていくわけだけど、このときからすでに商品をイメージしていて、でき上がった突板がうちの工場に入るとすぐに、「これはこう加工して、こっちはあの製品のあのパーツに」と使い方を細かく決めていく。こうした流れを見越して適切な突板を用意する作業は複雑だけど、最後まで使い切ろうとすれば自然にそうなる。ずっとそうしてきたんだ。

「悪い木」は、ない。
材料は当然ながら「いいもの」ばかりじゃない。挽き割ると一本ずつ違う表情や質を持っており、それを三段階で評価する。一段、二段落ちる材もあるわけだが、僕にはどうしてもダメな材とは思えない。割ってみて期待以下であっても、「しゃあないなあ、でもちゃんと生かしてあげるからね」と声をかけている。生きものである以上全部が完璧なんてことはあり得ないし、だいたいそれは人間の勝手な価値観。そんなのかわいそうだよね。
木は僕らがどんな評価をしようと文句を言わないけど、この木目が、節が、全体でしゃべっているように僕には思える。それぞれの個性が輝く場面が必ずあるし、目が粗い方がかえっていい味が出る、なんていう場合も多い。子どもと同じ。出来の悪い方がかわいい(笑)。
丸くまっすぐ伸びたコブのない素直な木は、木目も均一で美しい、いわゆる「いい材」だ。一般的に突板にはこういう何も問題ないものが適するが、必ずしもそうじゃないと使えないわけじゃない。テーブルトップ、キャビネットなどの内装、あるいは見えない部分など、用途を変えることですべての材が生きる。これはカンディハウスが生産している製品の種類が多く、製造工程をすべて自社で行っているから可能な部分も大いにあるだろうね。

撮影協力:有限会社 旭川銘木
